まこちゃん、どっちがいい? #極上のおもてなし #小鹿野町

みなさん、こんにちは。

代々木八幡 美容室スプラッシュの小林誠です。

*小林誠の自己紹介はこちらより

 

誰にだって人生の中で忘れられない言葉があります。

あの一言で、目の前がひらけた。

あの一言で、助かった。

あの一言で、・・・と。

なにげない言葉でも、一生記憶に残る言葉があります。


|大森床場

生まれてからずっと、父親が通っていた理容室で髪を切っていました。

私の出身地の小鹿野町にある大森理容です。

あのころは「大森床屋」とか、単純に「床場(とこば)」と呼んでいました。

 

小学生低学年くらいまでは、祖母に連れられて一ヶ月か二ヶ月に一度は床場に通って、五分刈り(バリカンの9mm)の丸坊主にしてもらっていました。

夏になると「ちょっと短め」で三分刈り(バリカンの6mm)にしてもらいました。

 

いつも床場に行って少年マガジンの「釣りキチ三平」を読むのが楽しみでした。

待合で自分の順番までの間に「釣りキチ三平」を読みます。

床場が空いていてすぐにカットできてしまう時は、漫画が読めないので、なんだか残念に思ったものです。

 

 

|人生の節目は床場へ

子どもの頃から、行事ごとの前はかならず床場で坊主にしてもらってました。

七五三や入園式、卒園式、そして入学式などの行事前に床場にいきます。

さらに夏休みに入ったり、学期が始まる前や年末にお正月を迎えるためにも床場に行きました。

人生の節目には、いつも大森床場の出番です。

 

私は子どもながらに床場が大好きでした。

床場の入り口のドアを開けた瞬間のシャンプーやパーマ液の匂い。

散髪しながらの大人たちの世間話。

ドライヤーの音や水の流れる音。

カットの時のハサミのシャキシャキした開閉音。

シャンプーの時の泡立ちや指の感触。

顔そりの時のカミソリが肌に当たる感触。

髪を乾かす前のトニックのスッキリ感。

|大森のおじぃ

床屋のおじいちゃんは、頭を拭いたタオルを洗い物のバケツにソフトボールのピッチャーの投げ方でスゥーと投げます。

そして洗い物バケツに入るタオル。

その姿がとってもカッコ良く見えたものです。

 

しかし、そのタオルを投げるようすを鏡越しに見ていた小学生の私は、

「もしもオレが床屋だったら、お客さんの頭を拭いたタオルは投げないなぁー」

って思ったりしてました。

生意気な子どもです。

 

そのおじいちゃんは、大森床屋の現店主のぶ君のおじいちゃんで、

先先代の店主 大森常吉さん。

すでに何十年も前に亡くなってしまいましたが、職人気質でとってもカットが丁寧な理容師さんでした。

いまは亡き私の祖母は「大森のおじぃ」と呼んでいました。

 

ちなみに、現店主「のぶ君」は、私の一つ上の年齢で高校の先輩。

奥様は私の高校の同級生でもあり、東京マックス美容専門学校の同級生でもある「稔子ちゃん」。

 

私の父親は今でも大森床屋に通っています。

父親は中学を卒業してすぐに通い始めたので、もう60年くらい通っている計算になります。

何かと縁が深いです。

 

|まこちゃん、どっちがいい?

床場でカットが終わり、シャンプーをしてもらった後、仕上げに入ります。

坊主頭なのに一丁前にドライヤーをかけてもらいます。

ドライヤーの前に、大森のおじぃがヘアトニックをつけてくれます。

 

その時に

「まこちゃん、日本の香水とアメリカの香水、どっちがいい?」

と必ず聞いてくれます。

私が「日本の香水がいい!」と言うと

大森のおじぃは「日本がいいか。お前はいい子だなぁ。」と必ず言って、いい顔をして笑います。

 

いま思えば、日本のヘアトニックとアメリカのヘアトニックの二種類が床場にあったとは思えません。

大森のおじぃはサービス精神から、子どもの私にヘアトニックを選ばせてくれたのです。

私のことを初めて大人扱いしてくれたのが大森のおじぃです。

大人と同じサービスをしてくれたのが大森のおじぃです。

 

|私の宝物

現在の私は、大森のおじぃと同じ理美容業界で働いています。

私のサロンであるSplashのスタッフたちには、

「お子様のお客様が来ても子供扱いしてはいけないよ。

子どもでも大人と同じように、サロンの状況をすべて把握しているんだからね。

礼節を持って接しなさい。」

と伝えています。

 

これは私が子どもの頃、大森のおじぃから教えてもらったことです。

 

大人にとって普通のサービスでも、子どもにとっては極上のおもてなしになります。

 

Splashへは、毎日たくさんのお子様たちがカットに来てくれます。

Splashに来店した時のことを生涯心の何処かにしまっておいてくれる子が、

その中に一人でもいてくれるなら・・・。

私は経営者としても、美容師としても幸せで、とても豊かなことだと思っています。

私が目指す、幸せを体現できるサロンの一側面でもあります。

 

 

|大森常吉という理容師

上の写真は、大森のおじぃの写真です。

現店主の大森ご夫妻からいただきました。

 

理容師大森常吉は、美容師小林誠に、仕事の上でのとても大切なことを教えてくれました。

 

『まこちゃん、日本の香水とアメリカの香水、どっちがいい?』

 

大森のおじぃの言葉と写真は、私の一生の宝物です。

 

|私の美容師としての原点

私が子どもの頃、大森のおじぃから教えてもらった「人への接し方」は、今も私の美容師としての原点です。

あの頃の私がそうだったように、スプラッシュで過ごした時間が、誰かの心に残る思い出になってくれたら、これほど嬉しいことはありません。

時代は変わり、世の中の価値観も大きく変化してきます。

しかし、人を大切に想う気持ちや、礼節をもって接すること、

お客様一人ひとりに寄り添うことは、これからも変わらないスプラッシュの本質です。

 

 

 

誰にだって人生の中で忘れられない言葉があります。

あの一言で、目の前がひらけた。

あの一言で、助かった。

あの一言で、・・・と。

なにげない言葉でも、一生記憶に残る言葉があります。

 

それでは、また。

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